Co-work(日中韓学生アニメーション共同制作)とは
Co-workは、アニメーションの大学院生向け実践型教育プログラムです。日中韓3か国の学生が一堂に会し、短編アニメーションの企画から制作、完成作業、発表までを集中的に行います。実制作期間は、それぞれ10日程度の「企画ステージ」と「制作ステージ」から構成され、学生たちは英語でコミュニケーションをとりながら作品を完成させます。また「Co-work」の締めくくりとして、合同成果発表会を開催し、その中で教職員や専門家を交えた講評会を行っています。更に、幅広い知識の習得を目指して、レクチャー等が産業界からの講師や専門研究者等によって行われます。
2010年の開始から現在までに、のべ250名以上が参加し、60作品以上の作品を完成させています。その独自性と作品の質の高さから、世界最大規模のデジタルメディア/デジタルコンテンツのカンファレンスである「シーグラフアジア」等でも発表され、国際的にも大きな注目を浴びています。
なお、2020〜2022年度は、コロナ禍の中にあっても、完全なオンライン方式によって「Co-work」を完遂し、新しい形での国際共同制作の教育を世界に先駆けて実施しました。
1. Co-work の目的
- 国際的視野を持った学生の育成
- アニメーション教育のメソッドの交換・共有
- 教育・研究機関・若手クリエーターのネットワーク構築
2. 参加校
- 東京藝術大学(Tokyo Geidai)
- 韓国芸術総合学校(K'Arts)
- 中国伝媒大学(CUC)
3. Co-workの歴史
2010年に東京藝術大学と韓国芸術綜合学校(K'Arts)の2校が初めて開催し、2012年から中国伝媒大学(CUC)が加わりました。
2016年には、文部科学省大学の世界展開力強化事業に採択され、キャンパスアジア事業として実施。2021年には、引き続き同事業に採択され、日中韓にASEAN諸国を加えたキャンパスアジア・プラス事業として再スタートを切りました。
これまでの Co-workのテーマと参加校
第1回|2010 |
東京藝術大学・韓国芸術綜合学校 テーマ「相生相剋」(ソウル) |
第2回|2011 |
東京藝術大学・韓国芸術綜合学校 テーマ「相生相剋」(ソウル) |
第3回|2012 |
東京藝術大学・韓国芸術綜合学校・中国伝媒大学 テーマ「相生相剋」(ソウル) |
第4回|2013 |
東京藝術大学・韓国芸術綜合学校・中国伝媒大学 テーマ「縁」(ソウル) |
第5回|2014 |
東京藝術大学・韓国芸術綜合学校・中国伝媒大学 テーマ「三」(横浜) |
第6回|2015 |
東京藝術大学・韓国芸術綜合学校・中国伝媒大学 テーマ「逢う」(横浜) |
第7回|2016 |
東京藝術大学・韓国芸術綜合学校・中国伝媒大学 テーマ「発見する」(横浜) |
第8回|2017 |
東京藝術大学・韓国芸術綜合学校・中国伝媒大学 テーマ「目覚める」 (企画ステージ:横浜、制作ステージ:北京) |
第9回|2018 |
東京藝術大学・韓国芸術綜合学校・中国伝媒大学 テーマ「メタモルフォーゼ」 (企画ステージ:北京、制作ステージ:横浜) |
第10回|2019 |
東京藝術大学・韓国芸術綜合学校・中国伝媒大学 テーマ「東アジア的価値観」 (企画ステージ:横浜、制作ステージ:ソウル) |
第11回|2020 |
東京藝術大学・韓国芸術綜合学校・中国伝媒大学 ※オンライン開催 テーマ「アジアン・シリー・シンフォニー」 (企画ステージホスト校:東京藝術大学、制作ステージホスト校:韓国芸術綜合学校) |
第12回|2021 |
東京藝術大学・韓国芸術綜合学校・中国伝媒大学 ※オンライン開催 テーマ「花鳥画 Ver2021」 (企画ステージホスト校:東京藝術大学、制作ステージホスト校:中国伝媒大学) |
第13回|2022 |
東京藝術大学・韓国芸術綜合学校・中国伝媒大学 ※オンライン開催 テーマ「孤立の中の感情」 (企画ステージホスト校:東京藝術大学、制作ステージホスト校:韓国芸術綜合学校) |
第14回|2023 |
東京藝術大学・韓国芸術綜合学校・中国伝媒大学 テーマ「身体」 (企画ステージホスト校:東京藝術大学、制作ステージ:横浜) |
4. Co-workにおける質の保証について
東京藝大の授業カリキュラム上は「国際共同制作演習(アニメーション)」として選択科目3単位(2021年度までは2単位)として単位付与を行っています。参加校である韓国芸術総合学校(K'ARTS)と 中国伝媒大学(CUC)についても、それぞれの大学のカリキュラムとして単位化を行っています。
東京藝大では、Co-workプログラム実施に先立ち、語学能力向上のための事前授業や英語プレゼンテーションのための演習を行っており、こちらも「国際コミュニケーション演習」の一部として単位化し、選択科目2単位として単位付与を行っています。
Co-work終了後には学生に対するアンケートを実施し、毎年改善に役立てています。この結果などを踏まえて、毎年、Co-workの開始前、開始中、開始後に、3カ国の教員・スタッフによりCoworkカリキュラムや今後のあり方などを話し合う「Coworkカリキュラム・ディベロップメント会議(@オンライン)」を開催しており、学生へのアンケート結果などに基づくカリキュラムの改善を行っています。
Co-workの内容に関する客観的評価として、最終成果発表イベントにアニメーションの専門家や産業界からのゲストを招き、評価をいただく「Co-work講評会」を実施しています。芸術の分野は作品の点数化が難しく、従来、専門性を持つ評論家や作家、研究者等が作品についてのコメントを重ねていく「講評会」を持って作品の評価としています。Co-workについても、完成作品について、できるだけ専門的知識に基づいた客観的評価を得られるように、講評会のゲストについて各大学で検討し、3カ国合わせて毎年15名程度のゲストにコメントを頂いています。また他分野の専門の教員などが出席することにより、視野の広い講評も可能となっています。
Co-workは、日本の大学改革支援・学位授与機構、中国教育部高等教育教学評価センター、韓国大学教育協議会が共同で実施するモニタリングを受けています。2019年に韓国で実施された中間レポートに対するヒアリング調査に、本学からも担当教員が出席し、質の更なる改善に向けて様々な意見をいただき更なる改善に努めています。