実施概要
Animation Archway – ワークショップ「アニメーションの原理学」
本イベントはASEANでアニメーションを学ぶ学部生向けのワークショップとしてとしてタイで行った。アニメーションのルーツとされることのある、壁画や視覚玩具、カメラオブスキュラ(ピンホールカメラ)、8mmフィルムなどの原理・歴史を学ぶワークショップ。座学と実物制作を行き来しながら理解を深めていく形式をとった。原理やその後の歴史を知り、体感し、理解することで、現在制作されているアニメーションを学ぶ上での一つの指針となることを目標とした。連携校である、タイ・シラパコーン大学にて開催し、タイ国内の4つの教育機関から、29名の学生が参加した。
開催日時
2023年1月11日(水)〜13日(金) 各日13:00〜17:00
言語
英語
参加⼤学
- シラパコーン大学(Silpakorn University)
- キングモンクット工科大学トンブリー校(King Mongkut's University of Technology Thonburi)
- カンタナ・インスティテュート(Kantana Institute)
- ランシット大学(Rangsit University)
講師
伊藤 圭吾
2017年、東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻を修了。2022年より、同専攻教育研究助手。
齋藤 光平
2019年、東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻を修了。2020年より、同専攻教育研究助手。
実施報告
ワークショップ1日目「視覚玩具とスクリーン芸術」
- 壁画から視覚玩具、テアトル・オプティークへとつながるアニメーション的表現の歴史、別のルーツとして影絵から幻灯機、テアトル・オプティークへと合流するスクリーン芸術の歴史の講義を行った。
- 実習パートとして「ソーマトロープ」「フェナキストスコープ」の制作をした。
- アニメーション的な表現の歴史を追いながら「残像効果」と「仮現運動」の2つの認知機能の違いを体感することにより「アニメーションとは?」という根源的な問いを考えるきっかけとなることを目標とした。
ワークショップ2日目「写真とフィルム」
- テアトル・オプティークからシネマトグラフ、フィルム映画へとつながるフィルムの歴史、別のルーツとして写真から連続撮影、フィルム映画へと合流する写真の歴史の講義を行った。
- 実習パートとして「カメラオブスキュラ」「8mmフィルムを用いたシネカリグラフアニメーション」の制作をした。
- アニメーションの発展に大きな影響を与えた「写真」にフォーカスを当て、その重要性を体感できる内容とした。
ワークショップ3日目「フレームバイフレーム、フレームレート」
- アニメーションの根本的な要素であるフレームバイフレームやフレームレート、それによる表現の違いを知る講義を行った。
- 講師が制作した作品の上映とプレゼンテーションを行った。
- 2日目に作成したシネカリグラフの上映会を行った。
- アニメーション表現の微細な違いによる印象の違いを知り、かつ講師自身が制作している上で考えていることを知ることにより、学生が自身の作品制作をする上で考える要素の幅を広げることを目標とした。
回答者:参加者29名
ワークショップは興味深かったですか?
- とてもそう思う:26名
- ある程度はそう思う:2名
- どちらとも言えない:1名
- あまりそう思わない:0名
- 全くそう思わない:0名
ワークショップの内容を理解しましたか?
- 強くそう思う:15名
- ある程度はそう思う:14名
- どちらとも言えない:0名
- あまりそう思わない:0名
- 全くそう思わない:0名
ワークショップのカリキュラムは適切でしたか?
- 強くそう思う:21名
- ある程度はそう思う:8名
- どちらとも言えない:0名
- あまりそう思わない:0名
- 全くそう思わない:0名
このワークショップで学んだことはあなたの今後の制作に役立つと思いますか?
- 強くそう思う:15名
- ある程度はそう思う:14名
- どちらとも言えない:0名
- あまりそう思わない:0名
- 全くそう思わない:0名
あなたはこのワークショップで何を学びましたか?具体的にお教えください。(抜粋)
- アニメーションの歴史をこれまでに学んだことがなかったので、このワークショップは私にとってとても興味深かったです。このワークショップで、私はもっとアニメーションを学び、今まで使用してこなかった技法のアニメーション制作もしたいと思うようになりました。それだけでなく、視覚玩具の制作も私にとって貴重な経験でした。このワークショップはとてもよく考えられたワークショップだと思います。この機会を提供してくれたことに感謝します。
- キーフレームについて学んだこと、フレームレートによる違いを知れたことがよかったです。アニメーションのそういった側面を明確に知るのにとても良いサンプルだったと思います。また、私は講師のアニメーションのスタイルも好きです。
- アニメーションの歴史。様々なスタイルのアニメーションを知ることで、デジタルのスタイルのアニメーションでない他の形の作品制作を考えるきっかけになった。
ワークショップについて、自由にコメントや意見をください。(抜粋)
- ワークショップで、アニメーションの原理を楽しく学びました。それは、私にとってアニメーションの歴史の新たな視点を得るきっかけになりました。また、描いた絵の小さな違いがフレームバイフレームアニメーションの感じ方をいかに変えるか、という内容の講義も良かったです。ありがとうございました。
- ワークショップはとても楽しかったです。毎日の実習がストレスを軽減し、動きに関して新たな学びを得ることに寄与していました。
- 8mmフィルムはとても小さく、アニメーションを作るのは本当に難しかったです。