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Cross-Cultural Animation Workshop in Thailand
異文化間アニメーションワークショップ(タイ)

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Symposium members

実施概要

AAENの協力校であるタイ・キングモンクット工科大学トンブリー校(KMUTT)建築・デザイン学部メディアアーツ専攻主催のワークショップが実施された。
本専攻は、アニメーション、グラフィックデザイン、ムービーデザインの4コースから成り、4年間のカリキュラムを修了すると美術学士BFAが授与される。
本ワークショップの目的は、タイの文化に触れて得たインスピレーションをもとに、中韓タイの学生がチームを組んで1分から1分半程度のモーションコミック作品を共同制作することである。

開催日時

2023年6月27日(火)~7月3日(月)

参加大学

  • キングモンクット工科大学トンブリー校(KMUTT)
  • 韓国芸術綜合学校(K-arts)
  • 中国伝媒⼤学(CUC)
  • シラパコーン⼤学(SU)
  • 東京藝術大学

参加学生

  • 合計:30名
  • KMUTT:学部生11名
  • K-arts:学部生5名、修士生3名
  • CUC:学部生1名、修士生5名
  • SU:学部生5名

プログラム

  • 1日目:開会式、学内ツアー、地元産業(採塩)見学
  • 2日目:脚本の講師によるストーリーテリングの講義、各校の学校紹介および作品上映会
  • 3日目:ラタナコーシン島(バンコク旧市街地)タイ文化体験ツアー
  • 4日目:企画会議、企画発表および講評
  • 5日目:制作(学生)、セミナー(教員)
  • 6日目:制作
  • 7日目:完成上映会および講評

実施報告

今回は、時期的な問題で藝大生は参加が叶わなかったが、藝大からは教員が一名参加してワークショップの視察とセミナーでの発表を行った。

参加した学生は、中国・韓国・タイの3か国混成の6グループに分けられ、モーションコミックと呼ばれるマンガとアニメーションを組み合わせた「動くマンガ」を制作した。マンガのコマをつなげて動画にすることでモーションコミックは作られるが、画面のなかにアニメーションを加えたり、ビジュアルエフェクト、サウンドエフェクト、カメラワーク、セリフ等を組み込んだりすることで、より精緻な作品を作ることも可能となる。今回の参加学生は皆アート系ということもあり、それぞれの得意分野を生かし、実際の制作時間は2日程度だったにも関わらず完成度の高いものが出来上がった。
制作に入る前に開かれた、実写映画の脚本家として活躍したオーストラリア出身のレスリー・オリバー氏によるストーリーテリングの講義も功を奏した。短い制作時間だからこそ、きちんとストーリーラインを組み立てることの重要性と、キャラクター・背景・音・音楽・動き・編集等すべての要素にストーリーがあることを意識するように説いた。

scene from Workshop

5日目に行われたセミナーでは、5大学の教員がそれぞれの国や大学で実行されている特徴的な教育内容や関連事業を発表した。
(1)タイの旧市街地を題材としたイラストとゲーム制作(SU)
(2)タイ北部の恐竜パークと提携してAR等を用いたインタラクティブデザインを刷新するプロジェクト(KMUTT)
(3)韓国のテレビシリーズアニメーションの歴史と現状(K-arts)
(4)韓国アニメーション界の女性クリエイターたちとその声の重要性(K-arts)
(5)ゲームにおける逆転傾向:キャラクター先導のワールドビルディング(CUC)
(6)デジタル技術が中国伝統芸術に与える影響とは(CUC)
(7)E-sportsで伝える中国の今と芸術(CUC)
等の発表があった。藝大の教員は、大学院映像研究科ゲームコース及び所属学生作品の紹介と、各学生には特化した専門性があるからこそ質の高い作品を制作することが可能であるということを話した。ゲーム教育への注目度はどの国も高く、2024年1月にタイで実施予定の藝大主催ゲームワークショップにも関心が寄せられた。

scene from Workshop

日中韓の学校が発起人となり、中心となって進めてきたAAEN事業であったが、タイでも推進していこうという気概が感じられるイベントであった。タイのアニメ―ション産業のほとんどが他国作品の下請けである現状を打破し、タイ独自の知的財産を生み出すのだという意気込みをタイの皆が共有していた。今回の成功を受け、次はタイの昔話を基にした作品をタイの学生同士で制作させたいと、教員たちはさっそく計画を立てていた。

今後の課題としては、日中韓タイ以外のアジア諸国にAAENの活動をどう広めていくか、コラボレーションを適正に評価するための指針と質保証の在り方、そして共通言語がないときの国際共同制作において更に掘り下げたディスカッションを可能とする方法を探ることである。

scene from Workshop