実施概要
AAEN Workshop: Forming and Presenting Game Ideas
本イベントはASEANでデジタルメディアを学ぶ学部生向けのワークショップとしてタイで行われた。本学特別教授であり株式会社スクウェア・エニックスプロデューサーの時田貴司氏を講師とし、自身のキャリアの紹介からゲーム制作に関する講義、1時間という短時間かつグループ作業でのゲーム企画とプレゼンテーションという一連のワークショップを通して、ゲーム企画の要点を体感することと、日本のゲーム産業について触れることなどを目標とした。AAEN連携校である、タイ・シラパコーン大学にて開催し、タイ国内の4つの教育機関及び本学から、合計42名の学生が参加した。
開催日時
2024年1月20日(土) 10:00〜16:00
言語
英語、タイ語、日本語
参加⼤学
- シラパコーン大学(Silpakorn University)
- キングモンクット工科大学トンブリー校(King Mongkut's University of Technology Thonburi)
- ランシット大学(Rangsit University)
- カンタナ・インスティテュート(Kantana Institute)
- 東京藝術大学(Tokyo University of the Arts)
講師
時田 貴司
株式会社スクウェア・エニックス プロデューサー 東京藝術大学特別教授
1984年から演劇活動のアルバイトとしてゲーム制作に参加。デザイナー、プランナー、ディレクターを経て現在はプロデューサーとして従事。代表作はFINAL FANTASY Ⅳ、LIVE A LIVE、クロノ・トリガー、半熟英雄シリーズ、ナナシ ノ ゲエムなど。
実施報告
10:00〜11:00 時田講師自己紹介、ワークショップ説明
- 時田講師自身がどのようにしてゲーム業界で働くことになったか、携わったタイトルの紹介などのキャリア紹介、及びワークショップの要点の説明が行われた。
- ゲーム制作を料理作りに例え、「素材=テーマ」「調理法=ジャンル」「味付け=世界観、ストーリー、グラフィック、サウンド」「味=遊び心地」「食感=触り心地」などの説明に参加者は聞き入っていた。
11:00〜11:15 ワークショップテーマ決め
- 参加学生自身に作りたいテーマのアイデアをあげてもらい、1人2票の投票によりテーマを決定した。
- 「Survival サバイバル」「Ghost おばけ」「Explore 探検」「Sci-Fi サイエンスフィクション」「Murder 殺人」「Dating 恋愛」「Chaos 混沌」「Journey 冒険」「Farming & Relaxing 畑作業&リラックス」「Revenge 復讐」という10個のテーマ案の中から、「Farming & Relaxing 畑作業とリラックス」というテーマが選ばれた。
11:15〜12:15 ゲーム企画制作(グループワーク)
- タイからの参加者は4つの学校の学生がミックスされて5〜7人のチームに割り振られ、本学学生は5人で1つのチームを作り、1時間という短時間で企画をまとめた。
- 企画は、文字と絵を用いて模造紙にまとめられた。
- 短時間でまとめなければいけないため、リーダーシップを取る人、タイムキープをする人、リサーチをする人、絵を描く人などの役割分担が自然発生していた。全チームが時間内に企画をまとめ上げることができた。
- 「DHAM na」「TG661」「FARMIVERSE」「LABLARE」「TANEEE's BANANA」「GREEN DAY NEW NATURE」「Twilight Village」というタイトルの7つのゲームが企画された。
13:15〜14:30 プレゼンテーション、順位決め、総評
- プレゼンテーションの順番はくじ引きで決定し、各チーム3〜5分程度の企画のプレゼンテーションを行った。
- プレゼンテーションは全員がわかるように英語で行われた。
- プレゼンテーション後は、参加者の拍手による順位決めが行われた。自チームの企画を含めて良いと思うものを2つ選んで拍手をし、拍手の音量によって順位が決定された。
- その後に講師による各作品の講評が行われた。
14:30〜16:00 Q&Aセッション、修了証授与
- 時田講師へのQ&Aセッションが行われ、日本のゲーム業界のこと、講師の携わったゲームタイトルに関すること、AIなどの技術による将来のゲーム産業の変化に関することなど多くの質問が寄せられた。
- 最後に一人一人に修了証が手渡され、幕を閉じた。
回答者:参加者全38名のうち43名(回答率:約88%)
ワークショップは興味深かったですか?
- とてもそう思う:30名
- ある程度そう思う:7名
- どちらとも言えない:1名
- あまりそう思わない:0名
- 全くそう思わない:0名
このワークショップで学んだことはあなたの今後の制作に役立つと思いますか?
- とてもそう思う:28名
- ある程度そう思う:9名
- どちらとも言えない:1名
- あまりそう思わない:0名
- 全くそう思わない:0名
あなたはこのワークショップで何を学びましたか?具体的にお教えください。(抜粋)
- ゲームの作り方と良いチームワークを作り出す方法を学びました。
- ゲームデザインの役割分担とゲームの制作過程について考えることができました。
- ゲーム産業のビジネスモデルとゲームプランニングの方法を学びました。
- ゲーム制作において必要なことを全て学びました。また今まで会ったことのない人と協働することを学びました。
- 思考過程をまとめることを学び、限られた時間の中で進行管理することでチームワークのスキルが向上しました。
- 考えや意見は違っても、プロジェクトを完成させるという共通の目標があるからこそ、お互いにトレードオフの関係を築き、選択し合うことができました。最終的な結果は満足のいくものではなかったかもしれないが、考え方の違う人たちと意見を交わすことで、自分たちの考え方の限界をたくさん発見することができました。
- まずはスピード感を持って手を動かす大切さを学びました。制作を調理に置き換えて捉える考え方が自身の制作にも応用できると思いました。
ワークショップについて、自由にコメントや意見をください。(抜粋)
- 1時間という限られた時間の挑戦は、自分の限界を押し上げてくれました。
- とてもいいワークショップで、本当にいい経験でした。このワークショップは、ゲームを作ることは難しくて不可能なことではなく、実は楽しくてチャレンジングなことなのだと思わせてくれました。
- たった半日のワークショップでチームワークが深まりました。協力してアイデアを出すことの大切さを学びました。
- ゲームはプレイ経験も制作経験もあまり無かったので不安でしたが、伝わりやすさとやりたい事のバランスを取りながら1時間で仕上げる経験ができてとても面白かったです。参加できて良かったです。